和室の建具には、おもに襖と障子があります。どちらも日本で古くから受け継がれ、現在でも広く使われていますが、2つの違いを知らない方もいるでしょう。
今回は襖と障子の歴史と構造上の違い、両者の優れている点を解説します。新築やリフォームの予定がある方や、襖と障子のどちらを設置すべきか迷っている方はぜひ参考にしてください。
襖と障子の歴史
襖と障子は現在、別の建具として扱われていますが、かつては明確に区別されていませんでした。
平安時代の初期、視線や日差しなどを遮る間仕切りは、どれも「障子」と呼ばれていました。障子という呼び名ではありますが、この時期の障子は、現代の和紙を貼った障子とは異なるものです。
この頃の寝室用の間仕切りは、「衾障子(ふすましょうじ)」という呼び名でした。この「衾障子」がのちに、「襖障子」「襖」という呼び名に変わっていきます。
南北朝時代には和紙の生産技術が上がり、現代の障子の原型とされる「明かり障子」が作られました。室内に光を採り入れられる機能性に長けた建具は、のちに「障子」と呼ばれるようになります。
襖と障子の構造上の違い
襖と障子はどちらも和室で使われる建具ですが、構造上どのような違いがあるのでしょうか。
襖の構造
襖は種類によって、内部の構造が異なります。
木枠に和紙を張り重ねて作る、伝統的な襖のことを「本襖」と呼びます。反りに強いため、古い襖紙の上に新しい襖紙を張ることで長く使用することが可能です。
ほかにも、軽量で安価な「量産襖」というものがあります。芯材には段ボール、発砲プラスチックが使われており、本襖と比べるとコストを抑えられます。ただし芯材が反りやすいため、張り替えには向かないのが難点です。
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障子の構造
木製の格子の片側に、障子紙を貼り付けたものを障子と呼びます。伝統的な和紙製の障子紙以外にも、レーヨン・パルプなどを混ぜて価格を抑えたものや、破れにくいプラスチック製など、さまざまな種類から選択可能です。
障子の木枠にも、ガラス枠をはめ込む「雪見障子」、下部分に腰板が貼られた「腰付障子」など、数多くのデザインがあります。障子枠の種類については、以下の記事で詳しく説明しています。
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襖の優れている点
襖と障子のどちらを選ぶか迷ったときは、それぞれのメリットをふまえて選択しましょう。襖の優れている点は、以下のとおりです。
芸術性の高いデザインを選べる
襖の引手、縁、襖紙には多彩なデザインがあり、好みのものを選択できます。
特に襖紙は種類が豊富で、アート作品を飾るような感覚でデザインを楽しめるでしょう。例えば、荘厳な和風デザインはもちろん、フローリングにも合う洋風デザイン、おしゃれな北欧風、子ども部屋におすすめのキャラクター襖紙などがあります。
断熱性・調湿性に優れている
木枠に和紙を張り重ねることで、襖の内部に空気の層が作られます。空気には熱を伝えにくい性質があるため、この空気の層によって、断熱性を保てるのです。
また、自然素材でできた和紙には調湿効果があります。湿度の多いときには水分を吸収し、乾燥しているときには放出する働きがあるため、湿気の多い日本でも快適な空間を作れます。
障子の優れている点
障子には、以下のような優れた特徴があります。
外からの光を採り込める
障子の大きな特徴といえば、採光性に優れているという点です。襖と同様に外からの視線を遮れるだけでなく、外からの光を採り込んで室内を明るくできます。
障子紙を通った光は均一に広がるため、日差しが強くても眩しさをあまり感じません。光の入り方がやわらかくなり、和室ならではの温かみのある空間を演出できます。
窓側に設置できる
障子も襖のいずれも、屋内の間仕切りとして使用可能です。しかし窓側に設置する際は、採光可能な障子を選択するのが一般的です。
ガラス窓にカーテンを設置する方法もありますが、室内側にボリュームが出てしまうのが難点です。障子は形がスッキリしているため、カーテンのような圧迫感がありません。
まとめ
襖と障子のいずれも、平安時代から現在まで伝わる伝統的な建具です。どちらも間仕切りとしての役割がありますが、窓際に設置する場合は、外からの光を採り入れられる障子を選択しましょう。室内の間仕切りとして襖を選択する場合は、洋風や北欧風などデザインを変えて楽しむのもよいでしょう。
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