掃除や張り替えで襖を外そうとしても、「引っかかりがあって外せない」「襖がスムーズに滑らない」という状態になっていることがあります。和室ならではの魅力を損なわないためにも、襖は使い勝手の良い状態に保ちたいところです。
襖が外れないからといって力任せに動かそうとすると、襖周辺を破損させてしまうおそれがあるほか、思わぬケガにもつながりかねません。そこで今回は、襖や戸襖が外れにくくなる原因や基本の外し方、またスムーズに動かせない場合の対処法などを紹介します。
襖が外れにくくなる原因とは?
当初は問題がなくても、使い込むうちに徐々に襖の動きが悪くなっていく場合があります。襖が外れにくくなる原因として考えられるのは、以下のとおりです。
●地震などの災害によって家全体が歪んできた
●築年数の経過によって鴨居が下がってきた
●敷居のレール部分が劣化してきた
●敷居と襖の間にゴミが挟まっている
敷居にたまったゴミは掃除をすれば解決できますが、建物の歪みや劣化が原因の場合は、自分で解決するのは難しいかもしれません。ただし、歪みや劣化の程度がひどくなければ、以下で説明する襖を外すコツを押さえることで、簡単に外せる場合もあります。
襖の外し方
襖や戸襖を外す際は、襖を鴨居の中央へと移動させます。そして、両手で襖の左右を持ち、上方向へと持ち上げながら襖の下部分を外してみましょう。襖を斜めにしながら手前へと引き出すことで、力をかけずに簡単に外せます。
基本的にはこの方法で問題なく外れますが、建物に歪みや劣化が生じている場合は、襖を斜めに引き出すことができないかもしれません。その場合は、次章で紹介する対処法を試してください。
襖が外れない場合の対処法
基本の外し方で襖が外れない場合は、襖を端に寄せて動かせるかどうか試してみましょう。なぜなら、鴨居は中央から下がってくる場合が多く、端に寄せることで外れる場合があるためです。左右に襖を動かしてみて、スムーズに動く場所で外してみてください。
左右に寄せても襖が外れない場合は、鴨居用のジャッキを使って鴨居を上へ押し上げてみましょう。専用のジャッキがない場合は、車用のジャッキでも代用可能です。ただし、そのまま使用すると鴨居や敷居が傷付くおそれがあるため、接触する部分に木材や分厚い冊子を挟むといった対処をしましょう。
他にも、襖と敷居の間に楔(くさび)を差し込んで上へ持ち上げたり、襖の上部分を削ったりする対処法もあります。ただし、道具がそろっていない場合や作業に不安がある場合は、襖の専門店に相談するほうが無難でしょう。
襖を外す際の注意点
襖を外すときには、以下の点に気を付けながら作業を行なってください。
外すときには襖に目印を付けておく
複数の襖を一度に外す場合は、それぞれの襖をもとの位置に戻せるよう、マスキングテープなどで目印を付けておくとよいでしょう。
「引き手の向きが合えば大丈夫だろう」と、適当な位置に襖をはめ込んでしまう方もいますが、襖はそれぞれミリ単位で大きさが異なります。襖の位置が入れ替わることで動きが悪くなる可能性があるため、掃除や張り替えで複数の襖を外す場合は、十分に注意が必要です。
襖の滑りが悪いときには
襖がスムーズに滑らない場合は、以下の方法を試してみてください。
●敷居のゴミを取り除く
●敷居用のテープを貼る
●敷居用のスプレーを吹きかける
●ロウソクの蝋を塗る
襖の滑りの悪さを改善する方法については、以下の記事も参考にしてください。
参考記事:襖の滑りの悪さを改善するには?滑りを良くする4つの方法を解説
襖を外せない場合は専門店に相談を
建物の歪みや劣化で襖が外れない場合、自分で襖や敷居を削ることで対処する方もいます。ただし、襖の専門知識がなければ、家全体の歪みや鴨居や敷居の劣化など、根本的な原因を見つけ出すのも簡単ではありません。襖周辺を傷付けてしまうなど、作業に失敗して状況がさらに悪化するおそれもあるでしょう。
「襖を左右に寄せても外れない」「敷居用グッズを試しても滑りが改善しない」などの場合は、襖の専門知識を持つプロフェッショナルに相談することをおすすめします。
とりまつ畳では襖や畳に関する施工を行なっているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
襖や戸襖は無理に力を加えて動かすのではなく、正しい方法で外すことが大切です。襖を左右に寄せたり、敷居のゴミを取り除いたりするなど、コツを押さえることで簡単に外せるケースもあります。
襖をスムーズに動かすための方法はいくつかありますが、なかには自力での対処が難しい場合もあるでしょう。そのような際は、自己判断で失敗するより襖の専門店に相談するほうが安心です。