和室で過ごす時間が好きな方のなかには、畳の穏やかな香りや独特な踏み心地を気に入っている方も多いのではないでしょうか。
畳には空気中の水分を調整する機能があり、ジメジメとした重たい空気を取り払ってくれます。リラックス効果の高い空間で日々の疲れを癒し、集中力を高められるのも大きな魅力です。
なお、畳の品質はその畳に使われている素材や材料によって大きく変わります。本記事では、畳の構造と素材・材料について詳しく見ていきます。
畳は何でできている?素材・材料を紹介【畳表編】
畳は、畳表(たたみおもて)・畳床(たたみどこ)・畳縁(たたみべり)という3つの構造でできています。まずは、畳表面のゴザ部分である「畳表(たたみおもて)」の素材をご紹介します。
イ草
畳表に使われているのは、イ草(藺草)と経糸(たていと)です。高級な畳であるほどイ草の本数が多く、品質の優れた素材が使用されています。
イ草は単子葉植物イグサ科の植物で、おもに湿地などで自生しています。「燈芯草(トウシンソウ)」という別名で呼ばれることもあります。
畳表に使用されるのはイ草の茎部分です。先端の尖った細い茎を束ねて、畳表の素材として活用します。
畳の部屋で過ごすときに、「他の部屋よりも過ごしやすい」と感じる方もいるのではないでしょうか。和室がちょうど良い温度と湿度を保てるのは、イ草の性質によるものです。
イ草の内部には無数の気孔が空いていて、スポンジのような構造になっています。この構造により、室内の水分や嫌な臭い、有害物質を吸着することができるのです。
近年は、中国産のイ草を使用した「中国表」の割合が大きくなっています。国産表よりも品質は劣りますが、その分価格を抑えることが可能です。
さらには、天然のイ草を使わない「化学表」も登場しています。化学素材が使われているため日焼けしにくく、耐久性に長けているのが良い点です。ただし、国産表のようにイ草の香りや雰囲気を楽しむことはできません。
綿や麻の経糸(たていと)
畳表の経糸には、綿製の「綿糸」、麻製の「麻糸」が使われています。綿糸と麻糸のどちらか一方、もしくは両方を組み合わせて織り上げる形です。
なお、経糸の本数や種類によって畳表のランクが変わってきます。綿糸と麻糸の両方を使用している場合、麻糸の比率が大きいほど耐久性が高いとされています。
畳は何でできている?素材・材料を紹介【畳床編】
続いては、畳本体の芯部分である「畳床(たたみどこ)」の素材を見ていきましょう。畳床に使われているおもな素材は、藁・ワラサンド畳床・建材床の3つです。
藁(わら)
従来の畳は、本畳床と呼ばれています。藁をいくつも重ねて作られており、踏み心地が良い点、吸湿性や弾力性に優れている点が魅力的です。
畳床は品質によってランクが分けられています。藁の密度が高いほど寿命が長く、品質に優れた高級品として扱われます。
近年は天然素材の藁ではなく、安価な発泡スチロール・木材チップを用いた畳床が主流となりました。これらの畳は藁の量が少ないため、本畳床よりも安価です。
新素材の畳床(1)ワラサンド畳床
新素材のワラサンド畳床とは、藁と藁との間に発泡スチロールを挟み込んだ畳床です。軽くて湿気に強く、断熱性にも優れています。
ワラサンド畳床は、発泡スチロールが使われている分、本畳床よりも安く入手可能です。藁も使用されているため、本畳床のような優しい足触りを楽しめます。
新素材の畳床(2)建材床
藁を用いず、発泡スチロールや木材チップのみで作られた畳床を建材床と呼びます。本畳床やワラサンド畳床とは異なり、踏み心地が硬めです。ただし、軽量で断熱性に優れており、安い価格で手に入れられます。
また、藁を使った畳はダニが発生しやすいため、メンテナンスに気を配らなくてはなりませんが、建材床の場合、ダニの心配が少ないのもメリットです。
畳を購入する際には、見た目だけではなく畳床の素材についても理解しておきましょう。住んでいる環境や予算に合わせて、最適な素材を選ぶのが望ましいです。
畳は何でできている?素材・材料を紹介【畳縁編】
最後に、畳の縁に付けられた布部分である「畳縁(たたみべり)」の素材について説明します。
綿や麻の糸
畳縁は、畳表の端部分を保護する役割を果たします。従来の畳縁には、蝋引きして磨き上げた綿糸・麻糸が使われていました。しかし、現在は化学繊維のものが主流となっています。
畳縁には多数の素材・色・模様があります。かつては、身分に合わせて畳縁の模様や色を選ぶ必要がありましたが、現代ではそのような制約は一切ありません。
畳縁の種類によって和室の印象が大きく変わるので、ぜひ好みに合わせて選んでみてください。
まとめ
畳の構造は、畳表・畳床・畳縁の3つの部分で成り立つシンプルな構造です。各部分で使われている素材・材料によって、耐久性や吸湿性、断熱性など性能が変わってきます。畳を選ぶ際には、住環境や用途を考慮しながら選ぶことが大切です。
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